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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/11 取材)

大学生以下は直アポでも全員会う

長南 今回、高校生への講演をいきなりお願いしましたが、びっくりされましたか(笑)

※ インタビュー当日たまたま高校生が訪れており、サンフランシスコのトレンドやアメリカの教育と起業などについて、宮田さんにお話いただきました。

宮田 びっくりしましたよ(笑)でも僕自身も、大学生以下は直のアポでも全員に会っていますよ。これからの時代はいくらおじさんの会社をスピンアウトさせても変わらない。だから10〜20代の子達を勝負できる人材にすることに力を費やしたいと思っているので、大学生はもうめっちゃウェルカムだと。未来がありますよね。

長南 会いに来るのはアメリカ人ですか、日本人ですか。

宮田 日本の東大、早稲田、慶應の学生ばかりですね。最近すごく来るんですよ。「僕、東大生です。夏休みに来ました。会ってください」みたいな感じで来て、皆会っています。実際に会ってみて、イケてる大学生も増えたなって気もすごくしますね。

長南 一人で来るんですか、チームで来るんですか。

宮田 4〜5人でまとまって来ることが多いですね。「早稲田の5人で来ました」みたいな。

長南 日本では人伝で起業家を紹介してもらうケースが多いんですけど、アメリカではどうですか。

宮田 それは一緒ですよ、口コミが多いですね。僕もScrum Venturesで今ちょうど丸3年投資をして投資先が40社になったのですが、VC仲間でも仲の良い人や僕のことを分かってくれている人も増えてきたので、「あ、これはタクに紹介しよう」ってなるんですよ。全部が全部当たるわけではないですけどね。メールも一応全部見ているけど、やっぱり人伝でスクリーニングされている方がクオリティは良くなりますよね。特にクオリティが良いのは、Y Combinator。あとは投資先のCEOからの紹介。それは何が良いかって言うと、その人にとって僕のバリューが明確だから、例えば「タクはローカルでのパワーはそこそこだけど、アジアになると強い」という説明を聞いて支度した上で来ることですよね。

長南 投資先のCEOたちの中にも、エンジェルとして投資をしている人がいるんですか。

宮田 結構います。投資先40社の中だと、1/4くらいじゃないですかね。上場まで株が売れないというのは、本当に日本の良くないところだと思いますね。やっぱり頑張ったらちゃんとお金持ちにならないとだめ。

長南 日本だと上場時の時価総額の相場から見ても、そこまで大きくなっていないというのもありますよね。

宮田 やっぱり1億円をキャッシュで持っているかって結構大きいから、「1億円くらいはキャッシュ化させてよ」っていう気はしますけどね。

長南 そうなると、会社のステージとしてはどのくらいになるんでしょうか。

宮田 アメリカのイメージで言うと、例えばステージCで500億円くらいまで行っている、と。

長南 日本では非上場会社でその規模は中々ないですね。そこまで大きくなっていたら、もう東証一部に上場していますからね。木村新司さんとか山田進太郎さんとか、より目線の高いシリアル・アントレプレナーが最近は増えてきて、大きくなる会社も少しずつ出てきましたね。

宮田 ポテンシャルとしてスケール感のあるものが増えれば、次のソニーみたいな夢も見れるのでは、という気はしているんですけどね。

投資家インタビュー Vol.8 スクラムベンチャーズ宮田拓弥氏 大学生以下は直アポでも全員会う

スタートアップ=ワンプロダクト

長南 一つ、日本とアメリカの間ですごく違いがあると思っていることがあって、アメリカで何かを改善する時には、簡単に、簡単になっていくんですよね。それはもしかしたら英語の情報量、もしくはダイバーシティ的に簡潔に表現しなければいけないという要素もあるのかな、とは思うんですけど、逆に日本の改善って複雑に、複雑になっていくんですよ。で、日本は「じゃあ改善してね、任せたよ」って言った時の細かいサービスとかは強いのに、その強みがサービスに反映されていない気がしていて。アメリカに持っていっても、同じことはたぶんできないと思うんですけど。

宮田 僕も日本とアメリカの違いを感じる例を挙げると、アメリカでは会社のスクラップ・アンド・ビルドが早いのと、コンポーネント化されている。日本って会社が潰れかけてもひたすらピボットして、最初の業態とは全然関係がない分野で何とかして上場するみたいな、会社をどうにか残すところがあるじゃないですか。それはシリコンバレーでは有り得ないんですよ。会社をちゃんと潰して、もう一度やる。リスクマネーだから、潰れたって仕方がないわけですよ。でも日本では、全然違う分野でサバイブして色々なポートフォリオを作って、なんとか生き延びている会社ってすごく多いじゃないですか。

長南 確かに、投資した時のビジネスモデルと成功したビジネスモデルが違うことがすごく多いですよね。

宮田 アメリカで も "Ramen Profitable" 、ラーメンが食えるくらいのギリギリの利益さえあれば、っていう言葉があって、ギリギリの会社もあるにはあるんですけどね。ただ、プラットフォームを作って色々やるというのはレバレッジが効くんだけど、日本は売上のボリュームを作るためになんとなく色々な事業をやっている会社が多い。アメリカにはそういうスタートアップはなくて、「スタートアップ=ワンプロダクト」なんですよ。あと、リスクマネーの考え方がしっかりしているから、スタートアップが潰れてもOKなんです。

投資家インタビュー Vol.8 スクラムベンチャーズ宮田拓弥氏

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