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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

生のIPOの方法論を教える仕組みがない

長南 投資をする時にリターンってどのくらいを目安に考えているなどありますか。

松本 あまり考えてはいないですね。元取れればいいか、みたいな。もうちょっと欲を出した方がいいのですかね、「たくさん欲しいです!」みたいな(笑)

長南 クロージングした案件はまだないですよね。投資先の会社がだめになった時はどうされますか。

松本 クロージングした案件は全然ないです。再生しなければいけない案件があれば、メンタリングとかそれを手伝うのはすごくやると思いますよ。「そんなことでめげるなよ」って背中押しまくります!

長南 松本さんのやっぱり許容度の広さっていうのは、20代の時の体験からくるものなのでしょうね。

松本 その時に自分が潰されなかったのは大きかったですよね。多分、色んなことで腹を立たせた人はいっぱいいたと思います。

長南 そういう時には謝っていたのですよね。

松本 謝る以外、お金も無いので何もできないですよね。誠意を持って謝る、もうそれだけ。でも、その時にやっぱり救ってもらっているっていうのがあるので、今自分に余裕があるんだったら、そういう人達をぜひ支援してあげたいっていう気持ちはすごくありますよ。特にIPOに関して、証券会社を含めた金融業界でも具体的にIPOのプロセスを踏む方法論を教えられるものがないのですよね。上場規則を読んだからって上場できるわけじゃないじゃないですか。生のIPOっていう言い方が良いのか分からないですけど、実際、生の方法論をちゃんと教える場が無い。

長南 それは何でなんですかね。

松本 証券会社のIPOのビジネスモデルがそうなってしまっているからですかね。

長南 教えることでお金になるか、ということですか。

松本 その方法論を教えたとしても彼らはお金にはならないです。もちろんコンサル料は発生するわけですけど、その部分については中々手が行き届かないのです。ビジネスモデル上、重要な収益は上場時の売却、ファイナンスの手数料ですよね。だから上場できる会社かどうかのスクリーニングはあっても、育てる仕組みにはなっていないじゃないですか。だから本当に日本のマーケットを活性化させたいとか、IPOするベンチャー企業を増やしたいのであれば、IPOはこうやればできますよっていうのをきっちりパッケージにして、上場できそうな会社に当分の間提供してあげるっていうことの方が重要ですよね。

長南 それを今、松本さんがやってらっしゃると。

松本 微力ながら自分ではやっているつもりですけど、そういうことをもっと国とか組織立ったところでやるべきだとは思います。

長南 狙いを定めたところを育てていくっていう感じですか。

松本 というよりも、IPOしたいという会社に、IPOまで一番近い道筋で「君の会社に良い方法はこういう方法だよ」っていうのをちゃんと示唆してあげて、それをその後一緒になって考えてあげるような仕組みがあれば、そんなに難しいことではないですから。

長南 それを自分で経験したからこそ、今出来ているのですよね。

松本 そうです。生で自分が体験したものが自分のメソッドになっているだけで、どこの本にも書いてなかった。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏 生のIPOの方法論を教える仕組みがない

長南 それって具体的にどういうものがあったら良いのですかね。結構細かい感じですか。

松本 経営から入らなきゃいけないから、本当にやろうとしたら大変かもしれない。経営と人事が入ってくる。計画はその後でも、良いかなって感じ。そうやっていくつかのタームには分けられると思いますよ。経営と人事と契約法務と、あとは経営管理、みたいな。この4タームくらいでグッと走らせて、「君の会社だったら今これが遅れていて、これが進んでいるよ」みたいな。で、「これをやるのは社長じゃなくて、こういうリソースを入れるべきだよ」って。それをやってあげないと、社長がやらなきゃいけないものだと思って頑張っている人もいるので。社長がそれをやるなら、ちゃんと事業伸ばそうよ、って。当然初めてだから、こういう人が必要というのが分からない。証券会社がコンサルティング料を今の数倍取ってもいいからやるべきだと思う、上場に向けたコンサルテーションを。

長南 取引所審査もそうですが、証券会社もそれなりに綺麗になったところから入るじゃないですか。直前期の頭、もしくは直前々期の終わりぐらいの時期から入るから、一番生々しい部分は見てないのかもしれませんね。松本さんはIPOのスペシャリストですけど、会社に1人で入っても中々回らないのではないか、少なくとも2人はいないとできないのではないか、と思うのですけど。

松本 まぁ、そうですね。1人だときついですね。実際私も1人で乗り込むことはしない。

長南 何人くらいで行きますか。

松本 IPOまで抱えるのだったら、あと私の下に最低2人くらいいればできますね。結局、経理財務まわりとそれ以外のIPOの手続まわりは全く別になるので、ここはどうしても2系統必要になってくる。だから、それのどちらかに私が入るとして、2人。私は経理まわりは入れないので、IPOの手続側とかで。それよりももうちょっと予算をかけてスピード重視でいくなら、私が管理者に入っても良いですね。そうすると、対金融機関とか対証券会社とかの対応ができる。先んじて手が打てるようになる。

長南 それ、enishの時の形ですよね。3人で一気にやっていましたものね。

松本 それが上場手前くらいの時です。3人いれば、何とかできちゃいますよ。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏

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