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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

起業家のプロダクトに対する考え方を見ている

長南 起業家はどうやって発掘しているのですか。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏 起業家のプロダクトに対する考え方を見ている

松本 私は今、なんとなくエンジェル投資家の類には入っていると思うのですけど、積極的にエンジェル投資家になっているかと言うと、これは極めて怪しいな、と(笑)

長南 でも、そういうカテゴリーになってしまっていますよね。

松本 なっちゃっていますよね。そもそも投資に参加したのは、それこそ川田さん(川田尚吾氏、株式会社DeNA 共同創業者)とか杉山さんとか海老根さん(海老根智仁氏、元 株式会社オプト 代表取締役CEO)とか、あとはシンガポールの加藤さんとかが、既に投資業をやっていて、「だったら、一緒にやらないか」っていうところで話があって、その案件に一緒にジョインしているっていう感じで、私、単独でジョインしているところってないのですよ。

長南 そこはある程度役割分担ができていますね。経営を見る人、営業を見る人、管理を見る人が分担できている、みたいな。

松本 そういうことですかね。だから、人からの紹介でお金を出すっていうのが大体のパターンです。

長南 エンジェル投資家の人でリターンを求めない人も中にはいるとは思うのですけど、リターンは求めていますよね(笑)

松本 もちろん!

長南 寄付的というか社会的に必要だからとかのケースも中にはあると思いますが、そのMAXってどのくらいですか。「もうこれはおそらく外しそうだけど仕方がない」みたいなものもあるじゃないですか。

松本 まぁ、2〜300万円くらいまでだったら、中にはありますよね。

長南 投資をするのに最大どれぐらい出していますか。

松本 MAXで3,000〜4,000万円くらいじゃないですか。

長南 そのくらいが上限と考えているのでしょうか。

松本 そうですね。例えば、シードに3,000〜4,000万円って言われて「事業はまだ形になっていないけど有望で、経営者がやる気です」となれば、「いいよ、500万円なら」っていうのはあっても、そこにいきなり3,000〜4,000万円投資するなら、自分でやりますよね、多分。だから、ある程度事業ができていて、次はIPOのレンジに入ってこなければならないとか、「IPO直前期のイメージです」みたいな話になってきて、「ここから組み立てたいです」ってなってくると、ある程度時価総額も大きくなっているので、ポーション取るならそのくらいの金額はいっても良いよ、みたいな。もちろんシードの案件も結構ありますよ。「こいつはイケてるから何とかしてあげて」って。

長南 その時って人を見ていますか。それともプロダクトを見ていますか。

松本 その人がやろうとしているプロダクトに対する考え方を見ていますね。人は多分1回や2回会っても見られないでしょう、人の性格なんて分からないので。

長南 最短だと、会ってからどのくらいで投資を決めていますか。

松本 最短はその日ですね。

長南 それはもう、直感ですか。

松本 直感と言えば直感ですけど、その人が説明する事業の内容とか成長のための方法論とかが合っていると感じたら、「金額が寡少であれば、いいじゃないの」と。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏 起業家のプロダクトに対する考え方を見ている

「調達した資金を何に使うか」が一番問われる

長南 経営者一人見ればそれで良いのか、チームを見るのかで言えばどうですか。

松本 一人でも構わないです。チームは見ないですね。

長南 じゃあ、投資の時点ではIPOできるかとか、そこはあまり関係ないんですね。

松本 シードからいきなりIPOまでは考えられないので、IPOにもし差しかかるところまで来るなら、それは「その時は俺が助けるよ」って言えると思うのですけど、ただ、「やるなら、そういう世界も夢見たら」とは言いますよね。

長南 社会的にちゃんと大きくするのを夢見てから。

松本 そう、そう。IPOの誤認識があるのですけど、個人の資産を増やすためではなくて「調達した資金を何に使いますか」というところが一番問われるところなので、IPOするのだったら、数億円、数十億円の資金を投下して事業をスケールさせるっていうイメージが無い限りは、IPOしても意味ないよねって。

長南 案件を断る時は何て言うのですか。

松本 「いや、申し訳ないけど・・・」って、その場で。

長南 まろやかに断るのではなく、ちゃんとピシッと。

松本 ピシッとですね。

長南 じゃあ、「中期経営計画見せてね」と言う場合には、脈はあると。

松本 起業家も一生懸命中期経営計画を作ってくるわけですけど、ここはえいや!で作っているな、ここは結構頑張って詰めているなっていうのが、作る側をやってきているので、見ていたら大体分かりますね。

長南 VCの人に話を聞くと、大体チームや組織を見るって言うのですが、そこはステージが違うからなのですかね。VCは比較的1-10の時ですからね。

松本 そうですね。VCの人達が入れる時はシードだとほぼ入れられないので。調達でやっぱり数億円の時にしか、彼らも逆に乗る意味がないじゃないですか。そのラウンドになってくればチームも出来ているし、実際プロダクトが走っている状態ですよね。1年か半年かの期間で何回かロールして、結果KPIも色々と出ている状態なので、そこでの見方とは全然違いますよね。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏

松本 浩介KOSUKE MATSUMOTO

元 株式会社enish 取締役CFO

1987年大学在学中に株式会社リョーマに入社。1992年株式会社リョーマが倒産。1995年株式会社マインドシェア入社。通販、コンテンツサービスの受託・運営、保険代理店、地方自治体のコンサルティングを行いながら、起業の機会をうかがう。1998年時刻表情報サービス株式会社取締役就任。1999年時刻表情報サービス株式会社代表取締役就任。インターネット上の運行情報フォーマットを日本初で開発し提供。JR東日本グループが資本参画し、子会社となる。2004年株式会社ザッパラス取締役就任。株式会社ザッパラスの株式上場プロジェクトの責任者(杉山全功氏が代表取締役社長)。2005年時刻表情報サービス株式会社取締役就任。東京証券取引所マザーズ市場上場(ザッパラス)。2009年東証1部上場。2011年株式会社enish取締役就任。2012年12月株式会社enish東証マザーズ。2013年12月東証1部市場変更。

投資家インタビュー Vol.7 元enish取締役CFO松本浩介氏

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