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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/9 取材)

「まだはもう、もうはまだ」

長南 あと、クロージングの時、良かった場合には皆ハッピーで良いんですけど、例えばIPOも出来ないしそこそこっていう場合、BUYOUTを促さなきゃいけないとか、クロージングで経営者と揉めてる件をお聞きしたりします。ベンチャーキャピタルの担当者がクロージングの時には変わったりするケースがあると思うんですけど、この2つが僕はベンチャーキャピタルの今で言うと経営者とのコンフリクトがちょっとあるところかなと思ったりしてるんですが、クロージングについてどうお感じになっていらっしゃいますか。

鈴木 クロージングについてで言うと、結局揉めるんです。いくら投資契約で取り決めをしても、人と人っていうところもあるし。企業としては僕らから投資を受けたタイミングから、時限爆弾じゃないけど、ストップウォッチで、時間が限られる訳ですよ。それは分かって受け入れられている筈なんだけれども、いざそうなってみると「いやいや、時間が来たから勝手に抜けるんでしょ」ってなる訳ですよ。

長南 どんなに相手のことを深く理解しているとしても?

鈴木 なる、なる。

投資家インタビュー Vol.1 リード・キャピタル・マネージメント鈴木智也氏 「まだはもう、もうはまだ」

長南 上手くクロージングできたケースというのはあったんでしょうか。

鈴木 ファンドというものをちゃんと理解してくれている経営者の場合はありましたよ。それはそこまでの約束で、しょうがないよね、と。ファンドの運用期間が10年あるとして、投資前にはどう考えても10年かからずにIPOしますっていう風に自信を持って言ってた人がそのタイミングが来てもIPO出来ませんって言ったのが今の例えだとします。ちゃんと理解してくれてる経営者は「すいません、僕が出来なかっただけなんで」となり、ファンドは「色々と協力します」ってなりますよね。

長南 次の出資元を見つけますとか、買いますとか。

鈴木 もっと言うと、そういうところの人も「じゃあ、僕もここで1回終了して、つまりEXITして、また次を始めます」っていう考えをするんですよね。

長南 それってでも、少ないですよね。

鈴木 少ないですよ。

長南 そうすると、言ってたことがあまりにも違うから、クロージングと投資する人を分けるファンドとかもあると聞きますが。債権回収みたいな。それはポリシーとしてどうですか?

鈴木 それは入れたところからEXITまで1人がやるべきで、担当は替えちゃ駄目ですよ。

長南 そうすると、辛いところも見られたりとかするじゃないですか。そうなると自分の中でモチベーション的にダメージを受けたり。

鈴木 しますします、します。

長南 その時の自分の回復方法ってどうされていらっしゃいますか?

鈴木 自分の回復方法…

長南 駄目だと思って、相手も駄目だと思ってくれてたらまだ良いんですけど、経営者は時間だけの問題、環境の変化とかでもうちょっとだ、と言ってるけれども、キャピタリストの見解が一致しない場合。多分一番辛いシチュエーションなんじゃないかと思うんですけど。

鈴木 自分のお金だったら、自己責任なんでいいですけどね。経営陣があともう少しなんですと言ったところに付き合うっていうのも選択肢としてはあるんでしょうけど、僕らはLPさんのお金をお預かりしてるから、「まだ」は「もう」なんですよ。「まだはもう、もうはまだ」っていう言葉があって、「いや、まだ行けるんです!」っていうのは、「もう」なんですよ。

長南 なるほど。

鈴木 大体そうですからね、絶対そう。「まだ大丈夫です」って言っているタイミングが、動くのに丁度いいんです。「本当にもう駄目です!」って言ったタイミングで動いても最低でも半年くらい、どこかの会社にお渡しするのにかかる訳ですよね。その間に、どんどん劣化していくんですよ。「まだ行けます!」って言ったところからやっぱり動かないと。タイミングが合わないですよね。 ちょっと逸れましたけど、「まだ行けます!」っていうのは、申し訳ないですけど、通用しないですよね。

長南 自分の回復方法は。

鈴木 自分の回復方法は、どうなんだろう。 逆に言えば、そういう話をしなきゃいけないところまで自分が引っ張っちゃった訳でしょう。だから、自分の能力がない訳ですよ。

長南 欧米のキャピタリストは、いい会社に時間かけるけど、駄目だと思ったら時間かけない、みたいなポリシーもあるという話を聞くんですけど、鈴木さんはどうですか。

鈴木 それはあんまりないかなぁ。産んだ子どもに「可愛くないから育てるのやめます」って言うのと一緒じゃないですか、それ。

長南 それで、僕も引き摺るタイプで、怒られるんですよ。どうかなってなんとなく思っていても、感情に引き摺られやすいですよ。

鈴木 自分が出来ることをちゃんとやって、それでもだめだって判断したらだめだけど、でも、だめになる前にサポートはちゃんとします。その上でだめだったら、だめですよね。

長南 結構時間はかけますか。

鈴木 うん。ちゃんと時間かけますよ。

投資家インタビュー Vol.1 リード・キャピタル・マネージメント鈴木智也氏

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