(2015/9 取材)
長南 先ほど投資対象の話があったと思うのですが、リード・キャピタルの投資対象は比較的BtoB系が多いと思うんですけど、VCの中でBtoBに張っていこうとかBtoCに振っていこうとか、何か取り決めとかあるんでしょうか?
鈴木 取り決めは特にはないです。BtoBの方が読みやすいっていうところはあるかとは思うのですが。まずは社外に対してイノベーティブなものを起こそうっていうところが上段にあってというところが重要だと思います。その起こす手段としてBtoBで行うののかBtoCで行うののか、というだけのことだと思います。
長南 リード・キャピタルでは、金融的側面からではなく、ちゃんと想いを持ったお金で育ててあげたいというか、社会にインパクトのある会社とか人に投資をしたいというのが一番の想いなんですかね。
鈴木 そう、少なくとも僕は。
長南 個人の目線で?
鈴木 そう。
長南 リード・キャピタルの中ではどのような感じですか。
鈴木 当然、皆そう思ってやっていますが、ファンドという金融商品を運用している以上は、堅い、手堅い案件っていうのにも考慮して、入れざるを得ないんだろうな、と思いますよ。
長南 ファンド投資総額が大体40〜50億円として、ワンショットの限界って、総額の何%と言う目安はありますか。5%以内とか、10%に抑えるとか。
鈴木 これは組合契約で大体決まっていて、たとえば、ファンド総額の3割だとかは、1社に入れちゃいけませんみたいなのを決めているんですけど。それを守った上でのワンショットは1億円から3億円くらいが目安でしょうか。
長南 リード・キャピタルの中で狙っている、その会社に対する株式のシェア率とバリエーションの目安はありますか。ワンショットこのくらい、バリエーションこのくらい、シェアが10〜20%、のようなものがあれば。
鈴木 これはあくまで僕の考えになるんですけど、シリーズAっていうところで、どんなに高くても、ポストで10%未満。
長南 7,000万円〜8,000万円がスタンダードであって、入れて1億円ぐらいですか。
鈴木 5,000万円から、入れて1億円くらいかなぁ。理想はね。
長南 実際にはどのくらいですか。
鈴木 だって今あれでしょ、高いんだもん。
長南 はは、今はしょうがないですけど。
鈴木 いや結局、市場ってアップダウンがあるじゃないですか。リターンを出す基本は、当たり前なんだけど、安く入って高く売れば良い訳なんですよ。要はどれだけ原価を抑えられるかどうかっていうのは、元々すごく重要。で、ちょっと別の概念で行くと、ROIベースで採算2倍以上にならないと、ファンドとしてお話しにならないんですよね。 全部2倍で抜けられたら、当たり前ですけどファンドは2倍になる訳ですよ。ということは、2倍を狙おうと思ったら自分たちが入れたそのポストに対して、出る時に2倍のバリエーションが付いていれば、基本的には2倍になっていますよね。例えば、ポスト5億円で入れて出る時に10億円に絶対しなきゃいけないんだったら、出来る自信はあるんですよ。そこから20億円弱ぐらいまでには何とか仕上げられると思うんですよ。
長南 それって何でそんなに自信があるんですか?
鈴木 いや、僕事業やってたから分かるんですよ。
長南 それは起業家がEXIT時に20億円なら出すだろうっていう予想なんですかね。 それとも、そこまでは事業として引っ張れるだろうという。
鈴木 後者ですね。 前者の方は、EXITのタイミングになって来ると、相手の状況にもよるんですけど。
長南 今はバリエーションが高いという話について。
鈴木 僕が始めた2007年当時と比較したら、高いですよね。
長南 ビジネスも変わってますけどね。僕が思うには、その当時と比べると起業家のレベルも変わったと思うんですけど、そんなことはないですか。
鈴木 2007年くらいだと、僕はあんまり変わってないような気がしますね。正しく言うと、裾野は広がったと思いますよ。上があまり広がっていない。
長南 あと、2回目の人がちょっと増えましたよね。 これが結構大きいと思うんですよね。成功確率が上がるというか。例えば楽天から独立してExitしている人達とか。
鈴木 そういうプレーヤーは確かにいますね。