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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

『進撃の巨人』の世界観がやばい

長南 できればこのインタビューを通じて、起業家の人に投資家の人となりを知って欲しいなと思っていて、お好きなものとかを聞いてるんですけど、例えばマンガでお好きなものがもしありましたら教えて頂きたいのですが。

川田 マンガ!今ね、『進撃の巨人』をめっちゃ読んでますね。あの世界観がやばいですよね。

長南 一番好きなところっていうのは、ディテールとかではなく世界観がやばいと。

川田 世界観やばいですね。惹き込まれるような世界観で、ストーリーも相当考えられていますよね。緻密、とても緻密。あとは色んなツール類とかも、結構理系の学生集めて一緒に作っているみたいなところとか、もうすげー超オタクなにおいがするわけですよ。あれ、やばいですね。

長南 やばいですね(笑)過去にはまったものでも良いんですけど、マンガでもう1〜2個挙げるとすると何がありますか。

川田 マンガじゃないですけど、10代の頃は『竜馬がゆく』にはまりましたし、『スター・ウォーズ』とかも好きですね。

長南 ハリウッド映画だと、分かりやすく、最後にはハッピーエンドであったり、感動させるようなストーリーがあったり。『アルマゲドン』が一番典型的だと思うんですけど、泣かせるところがある作品に対してはどう思われますか。

川田 まぁ、リラックスして観る時にはいいんじゃないですか。

長南 なるほど。嫌いではないけど、はまりはしないなっていう感じですか?

川田 うーん、何度も繰り返し観ないっちゃ観ないかなー。

長南 小説で言うと、お好きな小説家はいますか。

川田 小説!(笑)

長南 無ければ無いで全然大丈夫です(笑)

川田 小説だと元新聞記者の方が書いている長編小説が好きですね。司馬遼太郎とか『ハゲタカ』の真山仁さんとか山崎豊子さんとか。

長南 共通するキーワードとしてはやっぱり、「緻密さ」と「リアリティー」の2つですかね。 音楽ではどうですか。

川田 音楽ねー、音楽あんまり聴かないかなー。昔ジャズは聴いていたんですけど、本当最近カラオケで歌うくらいで、Jポップ系を。

投資家インタビュー Vol.6 DeNA共同創業者川田尚吾氏 『進撃の巨人』の世界観がやばい

VCはプロフェッショナル、日本にはエンジェルが少なすぎる

長南 たとえば、「僕はVCに向いてますか、それともエンジェル投資家に向いていますか」と聞かれた場合に、こういう人はVCに行った方が良くて、こういう人はエンジェルに行った方が良いんじゃないか、と仮に分けるとすれば、どのように表現されますか。

川田 VCは今後相当なプロフェッショナルレベルを求められる様になってくると思うんですよ。金融的な技術であったり海外事情を熟知していたり、あとは会計士さんとか監査役とかを全部アレンジしてセッティングできますとか、他の投資家を探してきてくれるとか、あとは、リクルーティングなどで相当サポーティブで実績をちゃんと出していたりとか。良い起業家は投資家を選びますからね。ここまでの10年は多分「VCです」って言った瞬間に価値が出ていたんですけど、この先は「VCです」って言ったら、「じゃあ、あなたのバリューは何ですか?」って話で、自分達のVCとしてのバリューは何か、みたいなことは海外の有名なファンドとかでも相当考えてやっていて、リクルーティングも必死にやっていたりします。そういうプロフェッショナルバリューを出せるような人だったらVCですかね。エンジェル投資家は起業経験があったほうが良いかもしれません。やはりエンジェル段階で入れるっていうことは色んな意味でリスクもあるので。

長南 お金を持っているか持っていないかもあるけど、という話ですよね。

川田 でも、日本ってまだエンジェル投資家が少なすぎるんですよ、多分。ちゃんとお金を集めて、まだ形になるかも分からないようなところに積極的に投資できるっていう価値は、もうその瞬間に存在する。いわゆるパイオニアになっているということで。

長南 究極的に言えば、エンジェル投資家っていうのは自分のお金でやるべきなのか、人から集めてやる方がベターなのか、エンジェル投資家という業態に対してどちらがベターなんでしょうか。エンジェル投資家って通常は自分のお金でやるってイメージが結構多いかと思うんですけど、日本ではちょっと違うものも出てきていますよね。逆にお金を集めるっていうことはEXITやクロージングっていう要素が出てくるとは思うんですけども。

川田 そこはたぶん、いまやっている人たちが10年経ってどのような結果を出せるか次第ですよね。

長南 なるほど、日本型のエンジェルができるかもしれない、と。海外でエンジェルのVCってあまりないですよね。エンジェルに目利きをしてもらってVCが投資をするというのが日本ではあって、そうするとやっぱり起業経験があって目利きができる人はエンジェルに行ったら良いんじゃないの、という感じですか。

川田 エンジェル投資家にも、例えば毎週自分で経営会議の議事録取って、前の週の振り返りで「あれ、これの宿題どうなった?」とか全部チェックできる人もいて、「働くエンジェル」やってるっていう(笑)

投資家インタビュー Vol.6 DeNA共同創業者川田尚吾氏 VCはプロフェッショナル、日本にはエンジェルが少なすぎる

長南 影武者みたいな。特殊なエンジェルですね。

川田 僕もなんだかんだ言って、場合によっては人を送り込んだりとか、最近はさすがにやらせてもらえないですけど、「このランディングページは俺が書く」と言ってやってみたりとか、割と手動かすのが好きなので。

長南 そうなると、働くエンジェル寄りになっていますよね、やはり。

川田 同じ手を動かすにせよ、例えばマネジメントジャッジや社内のマネジメントなどを、経験をベースにどのような軸で考えたら良いのか、みたいな話をするというところですよね。

長南 それが一番大きいのかもしれないですね。起業経験のある人が横に添いながら今みたいなお話をすることによって起業家は安心するし、そう考えるとVCと比べたらエンジェル投資家の方が起業家寄りになりやすいんですかね。

川田 起業って、ロジカルシンキングというよりもっとスポーツとかに近くて、確信を持って手を打たないと良い結果が出ない。特にマネジメント、人が絡むようなマネジメントのところはもっと曖昧で、それは色々な過去の事例や、これをやったらこんな事件が起きたとかっていう裏話とか、目の前に座っているアドバイザーの過去の経験などをベースにして、「こうだと思うよ」というような裏づけを持てると、安心して確信して手を打てるじゃないですか。そういうのって結構大事かなって思いますね。

長南 ロジカルだけではなくて、ジャッジに対する信頼度がチームに無いと、それが正しかったとしても中々ブレイクスルーしていかないですものね。

川田 だから、僕はわりとそういう右か左かをジャッジする際に「右だと思う」みたいな話をする時には、必ず過去の事例をデータベースから引っ張ってきますよ。

長南 起業家がよく歴史小説を読むというのは、そのような理由からだったりするんですかね(笑)

川田 起業家が歴史小説を読むのは、英雄伝説が単に好きです、みたいな話なんじゃないかと思いますよ(笑)

長南 自分が坂本龍馬になっちゃうと。 南場さんと一緒にやっていて、実際に事業をやるのとコンサルでは全然違いますか。

川田 あぁ、全然違いますよ。逆に言うと、学生の頃に学生ベンチャーに首を突っ込んでいたので、むしろコンサルタントをやっていて若干違和感があったというか。その3年間やっている中で、あるプロジェクトの責任者が南場さんで、そのチームに僕が入っていたんですね。クライアントはある大企業で、それまでのビジネスとは全く違う新規事業を立ち上げましょうっていう案件で、面白かった。すごく面白くて企画書もひたすら作ったんですけど、1発目の営業はチームの皆で行くわけですよ、コンサルタントとクライアントチームで。で、その一件目が無事獲れて「もっとビジネスをでっかくしよう!」と思って、気合い入れてオフィスに帰ってきたら、「じゃあ、そろそろコンサルティングは終わりにしましょう」みたいな話になってて(笑)まぁそれはコンサルティング会社なので仕方がないんですけど、そういうところには限界がありますね。

長南 もう少しやりたいなっていうところが出てくると。

川田 コンサルティング会社はやっぱり一定の期間、あるフェーズまでしかやれなくて、そこが限界になりますね。

投資家インタビュー Vol.6 DeNA共同創業者川田尚吾氏

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