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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

投資家インタビュー Vol.6前編 DeNA共同創業者川田尚吾氏 投資家インタビュー Vol.6前編 DeNA共同創業者川田尚吾氏

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《 INTRODUCTION 》

最近ではエンジェル投資家としての側面で著名な川田氏。マッキンゼーでのコンサルティング経験を経て、同僚である南場智子氏(株式会社DeNA 取締役会長)とDeNAを共同創業。いくつもの事業を成功へと導き、日本を代表するIT企業に成長させた豪腕。そこから何故エンジェル投資家としての道を歩み、新たな起業家を生み出そうとされているのかをお聞きできればと思います。

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コンサルティングファームを経て起業、そしてエンジェル投資家へ

投資家インタビュー Vol.6 DeNA共同創業者川田尚吾氏 コンサルティングファームを経て起業、そしてエンジェル投資家へ

長南 現在のエンジェル投資家と言っていいのか分かりませんが、今日に至るまでの経緯について教えてください。

川田 最初は1980年代の終わりから90年代の頭にかけて学生ベンチャーをやっていて、その後仲間はそのまま起業の道へと進み、僕は大学院に行ったんです。そこでインターネットと出会い、常時接続の環境で色々とやっていて、起業するなら絶対ネットで、という感じになったのですが、まだタイミングが早いと考えてコンサルティング会社のマッキンゼーに3年いて、そこで一緒だった南場さんたちと一緒にDeNAを共同創業しました。で、上場までいって、2007年に東証一部までいった後に、2008年から非常勤になり、主に投資家をやっています。簡単に言うとそんな感じです。

長南 東証一部への上場がとりあえず自分の中で一つの区切り、となったんでしょうか。

川田 色んな意味でキリが良かったんです。辞める時も共同創業者には最初は驚かれたけど、投資家をいずれやりたいということは昔から言っていたので、そのわがままを聞いてくれたという感じですね。

長南 自分で事業を作りたいというよりも、投資サイドが元々やりたいことではあったんでしょうか。結構、珍しいこととは思うのですが。

川田 学生ベンチャーをやっていた頃に肌で感じたのが、この国には本物の資本家がいないからまずい、ということでした。アメリカと比較して。サラリーマンは沢山いても、今の起業家みたいに自分で資本を持って借金に頼らずきっちり回していくような人達もあまりいないし、とにかく大きなプロジェクトを回そうとすると必ず国が出てきたり、何かしらの利権が絡んで、みたいなのが1980年代というか昭和の時代の動きですよ。民間資本のダイナミズムに脆弱さを感じていました。学生ベンチャーをやっている頃は土地バブルの頃で、土地を担保にお金を貸します的なところがVCって名刺に堂々と書いてあったりとか、テクノロジーのテの字も全然分からない人がVCを名乗っていたりしたんですよ、昔は。未上場会社を対象にした投資家は全部VCみたいな言い方をしていたんだけど、実質は土地を担保評価したお金を出資という形で出す、みたいな変な話なんです。世の中的に結構お金が余っているにも関わらず、起業パッションを持ち才覚のある人間には一切お金が回らないで、ゴルフ場とかにひたすらお金が吸い取られていて。ストラクチャーが絶対的におかしいと思ったんですね。そのおかしさの本質は直接金融が機能していないっていうことなんです。リスクをとれる投資家、資本家がいないというのが目に見えて分かったので、そこは絶対に今後必要だし、自分はそこをやりたいと考えていました。

長南 その1980年代〜1990年代の頃に、すでに今と同じようにアメリカではエンジェル投資家というものは一般的にいらっしゃったんでしょうか。

川田 アメリカはもういましたよ、いっぱい。

長南 日本とアメリカで資本家というか投資家について、何年ぐらい差がついているイメージですかね。今は少しずつですが、その差が縮まっている可能性はあると思うのですが、いかがでしょうか。

川田 アメリカでは1960年代に一番最初は研究所ぐらいから始まってます。日本で元起業家だった個人が積極的に出資をし始めたのが2000年代の終わりぐらい。40年ぐらいギャップがあるんじゃないですかね。その40年間で資本を何回転もアメリカはさせているわけですね。日本はまだ10年くらいしか経っていないから回転数も規模もまだ小さい。だからエンジェルの投資の厚みも全然違っていて、アメリカが年間何兆円規模なのに対して日本では、どうでしょう、行って二桁億ぐらいですかね。エンジェルマネーでいくと。数千倍違う。

好きな領域は知りすぎている分、見方も厳しくなる

長南 エンジェル投資家として、これまでに何件ぐらい投資をされていますか。

川田 25,6件。ステルスの案件もいくつかありますね。

長南 ステルスでいく場合とそうでない場合、2パターンに分かれると思うんですけど、それは投資先の会社側に判断を任せる感じですか。

川田 そうですね。それは経営者側がどちらかと言うと決めることで、投資のリリースを出す場合、リクルーティングにつなげることもできるじゃないですか。そういうのもあって昔は全部表に出ていたんですけど、最近はステルスの案件が多いですね。

長南 川田さんの場合、カメラを趣味にされていることもあって、Techのイメージが強いのですが、特にこの領域を重点的に投資している、というのはありますでしょうか。

川田 特にこの領域、というのはあまり無いです。好きなのはTech系。それと、ビジネスとしてBtoCをひたすらやっていたので、BtoCは好きだし勝手はよく分かるけど、逆に知りすぎているから見方も厳しくなりますね(笑)

長南 ほとんどのサービスの検証はDeNAで相当やられているとお聞きしていますが、やってきている分これは難しい、というのがある程度分かっていると。

川田 色々なことをやってきてはいますが、同じ事業でも作る人によってやっぱり結果は違ってくるし、過去にトライアルしてだめだったからと言って今もダメになるとは限らないし、あとスマホが出てくる前後でも色々変わったりとか、タイミングが重要だったりもしますね。

投資家インタビュー Vol.6 DeNA共同創業者川田尚吾氏

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