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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

起業家へのメッセージ

長南 最後に、起業家へのメッセージをお願いします。

杉山 とりあえずやってみよう、っていうことですかね、色々、もう失敗してもいいから。若い内なら取り返せるので、必ず。

長南 若いって何歳くらいですか?

杉山 30代前半まででしょうか、少し広めに考えると。若い時の失敗は絶対将来の成長の肥やしになる。こんな今みたいに良い時代はないですよ。昔は失敗するとそのままアウトだったのが、今は復活もできるし、これだけ直接お金や企業が集まるような時代なんてないですからね。

長南 それでもお金が集まるのはごく一部、というのはありますよね。

杉山 でも、昔よりはまだ良い。個人保証で親の家を担保につけるとか、当時はそんな時代ですからね。

長南 今は起業しやすいと。やるとしたら、起業するとしたら、学生の時から起業する方が良いと思われますでしょうか。

杉山 どちらかと言えば、僕は社会経験を持ってから起業した方が良いと思っています。大企業の経験を積んでいる方が、起業する時というよりは、起業した後に成功するためのステップとして、より条件がプラスになると思っています。社会の仕組みとか、やっぱり組織を知るってことですよね。ある意味、下っ端の悲哀を味わうっていうか、そういう方が良いと僕は思う。

長南 下の苦労を知っているからこそ上に立ったときの伸び代が増えるということですかね。ただ、あまり年次を積み重ねすぎると難しくなってくると。

杉山 企業に染まっちゃうと難しいですよね。やっぱり若い内は、別に短くても良いから社会に。あとは今日本だとやっぱり、どこどこにいたとか社会経験があるっていうのは、あるかないかでステレオタイプに見る人もいるんですよ、現実論。「あ、こいつサラリーマンやったことないな」って見てくる人がいるんですよね。だからそういうフィルターをひとつ潰すためにも、あった方が良いですよね。学生でいきなり起業してもいいんですよ、別に。どっちが良いかと聞かれたら、それはあった方が良いよね、って答えるだけです。

長南 投資を考えるにあたっても、社会経験がある起業家の方が良いですか。

杉山 投資にはあまり関係ないですね。まぁ、起業するのであれば、ってことですよね。失敗した方が良いとまでは言わないけれど、失敗しても良いからやってみよう、と。社員にもずっと言っていたんですけどね。失敗しないと始まらないぞ、と。もっと言うと、大事なのは失敗した後に同じ失敗を繰り返さないこと。失敗して、何で失敗したかを分析して、対応策を練って、チャレンジして、乗り越えることなんですよ。これの繰り返しだと思うんですよ。

長南 経営者としては、失敗は許容できる範囲で挑戦させているということですよね。

杉山 もちろん、会社の存続に関わることであったり、危機に面したプログラムやプロジェクトになれば若手よりもベテランに任せるとか、失敗しても良い対象を考えた上での話ではありますが。

長南 一部のIT企業で注目されているのが、新入社員にポーンと子会社の社長を任せるというのも、同じ様な意図でやっていることですかね。

杉山 そういう意味もあるし、IR対策でもあるんでしょうけどね。あとはその中で尖がった人材をどれだけ引っ張り出すかっていうことも多いんでしょうね。

長南 商社もそうですよね。まずは、海外のちっちゃいところを任せたりとか。

杉山 それ、中南米だったりしますよね(笑)でも、本当にそう思いますよ。若いうちは失敗してなんぼで、失敗したままで終わらないこと。そこから何かを得て次に繋げるっていうのも、もちろん大事なんですけど、失敗しないと始まらないし。今みたいに恵まれた環境はないと思うんですよね。

長南 やっぱり若い人を育てていかないとだめだっていうのと、そういう機会を作っていかないとだめだろう、と。

杉山 偉そうなことを全然言う気はないんですけど、バトンだと思っていまして。 そういう意味では、僕も徳間さんとかそういう人に助けてもらっているし、他の人にも、色々と教えてもらったり。しかもその時の、徳間さんを繋げてくれたのが今の日活の社長なんですよ、実は。例えばそういう上司や先輩が、お金がない人には中々行けないようなホテルの美味しいレストランに連れてってくれるだとか、銀座に連れていくとか。そういうのが、なんかこう、文化として多分あったと思うんですね。

長南 そういった旦那的な話、今はあまり聞かなくなりましたよね。

杉山 飲み屋に行けってことではなくて、上の人が下の世代に繋ぐっていう、一つのバトンっていうか。まぁ、僕自身が色々な方に助けてもらっているので、そういうペイ・イット・フォワード的なものはちょっとありますよね。だから、自分の持っているノウハウとか人脈とかをね、繋げてあげるっていう。幸い、僕の場合はさっき言ったみたいに、ベンチャーというより割と上の方との付き合いが多いので、例えばある会社の社長とここを繋げてみるとか、そういうのができたらいいな、って感じはしますよね。

投資家インタビュー Vol.4 杉山全功氏 起業家へのメッセージ

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《 CONCLUSION 》

今でこそ順風満帆に見える杉山氏ですが、やはりその裏にはとてつもない経験をされていて、その経験が現在にフルに活きていらっしゃるのだと感じました。エンジェル投資家という立ち位置ではなく、プロ経営者としてまた何回も企業を育てられるということが最大の楽しみであり、自分がいなくなっても自走できる組織を作りたいと言う杉山氏。現在のベンチャーを取り巻く環境は昔に比べれば圧倒的に良いという言葉には、これを利用しない手はないのかな、と感じました。

本インタビューにご興味を持たれ、杉山全功氏とのコンタクトをご希望の方は、下記からお問い合わせください。

投資家インタビュー Vol.4 杉山全功氏

杉山 全功SUGIYAMA MASANORI

元 株式会社enish 代表取締役社長

平成元年9月 潟_イヤル・キュー・ネットワーク 取締役
平成12年6月 潟Cンデックス入社 経営企画室長
平成16年1月 潟Uッパラス入社
平成16年4月 同社 代表取締役社長
平成16年7月 同社 代表取締役会長 兼 社長
平成22年5月 日活 取締役(現任)
平成23年6月 各nish 代表取締役社長
平成26年6月 地盤ネット 社外取締役(現任)
EmotionIntelligence、Wantedlyなどに投資している。

*本記事の内容は2015年10月取材時点のものに基づきます。所属、価格、企業名など時期により異なることがありますので、予めご了承ください。

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