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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/10 取材)

片目をつぶって試練を味わう経験を

長南 最近のスタートアップのベンチャー企業を見ていると、最初の資金計画で資金の8割をクラウドファンディングや制度融資、無担保融資、助成金給付などの公的資金で資金調達することを考えるような時代になってきています。テストマーケティングとしてクラウドファンディングをやっているケースも多いのですが、VCラウンドに行くまでに、とりあえずはクラウドファンディング、という流れはおそらくあって。5年くらい前からベンチャー企業の資金調達手段は増えましたが、最近のベンチャーを取り巻く環境についてはどのようにお考えでしょうか。

杉山 そう考えると良い時代になりましたよね。個人的には最近は安易に周りがお金をつけるのも良くないなとは思っていて、一株主からすると極端な話、早くEXITしてくれた方が良いわけですが、経営者を育てたいっていう欲求からすると、あえて片目をつぶって試練に臨むようなものをやっぱり味わってもらった方が良いなあと感じる場面はありますよね。例えば株主でIPOをしてEXITして、はいそこまで、という関係性であれば良いのかもしれないですけど、それはそれで嫌というか。偉そうな言い方ですけど、若手の経営者にはそういう苦労っていうか、乗り越えた人のみが上手くいってほしいみたいなのはちょっとありますよね。

長南 厳しい状況だと経営者の本質が見えやすいし、その中で周りへの感謝や有り難さが分かる環境なんですよね。追い込まれた時だからこその姿勢というか。

投資家インタビュー Vol.4 杉山全功氏 片目をつぶって試練を味わう経験を

資金調達して「おめでとう」は違和感

長南 今投資先は何件ぐらいでしょうか。

杉山 まだ少ないですよ全然。 enishの社長を去年の春に辞めてから7社です。

長南 1年半で7社。結構多いですね。それ以前にはないですよね。

杉山 全然やっていないです。

長南 結構なペースで金額も大きい印象があります。投資先の事業分野は限定しているのでしょうか。

杉山 分野は限定していないです。良いものがあれば。あとは自分が興味を持てるものと、経営者に魅力があるかどうか。

長南 どのような経営者が魅力があるなと感じますでしょうか。

杉山 色々ですよね。やっぱりある分野についてそれなりのトンガリを持っている人が良いですよね。

長南 逆にこういった起業家や経営者には投資をしない、というのはありますでしょうか。

杉山 最近の風潮でもあると思うんですけど、お金を集めて、やったぜ、と喜んでいるのは少し違和感があります。今は少しずつ減ってきていますが、お金がいくら集まりました、というのでおめでとうとかありがとうとか、ちょっと嫌な風潮なんですよね。

長南 集めてからがアクセル踏めて楽しいですが、反面辛いですからね。ほとんどの起業家の方は違うと思いますが、お金を集めること自体が目的化していると良くないですよね。

杉山 1個だけ例外としてあるのが、会社が潰れかかっている時にお金が集まっておめでとうって言うのは、それはおめでとうだなと。それは皆がおめでとうと言ってあげる、むしろおめでとうと言ってあげたい。

長南 なるほど。そういった再生系への投資はされないんでしょうか、ターンアラウンド的というかPEファンド的な。

杉山 それは再生の程度によるかもしれないですね。

エンジェル投資家もEXITを目指してなければ投資は難しい

長南 ファンドには期限がありますが、エンジェル投資家の方の場合には期限がないのですが、クロージングを真剣に考えるケースはまだあまりないんですよね。

杉山 個人マネーでやっているので、今のところはないですね。

長南 そこがないというのはエンジェル投資家の1つの大きな特徴ですよね。ただ、早くEXITしてくれれば、というのはありますよね。

杉山 それはもちろん(笑)早い方が良いですよね。

長南 もし例えば経営者からエンジェル投資家として入ってください、だけどVCを入れる予定は無いです、と言われたとすると、それはエンジェルとしてはどのように考えますか。他のケースだとIPOの予定もないです、という場合。

杉山 何を狙っているか、BUYOUT狙いですっていうのももしかしたらあるかもしれないですよね。BUYOUT狙いでもないとなると、じゃあ何を目指してるの?じゃあ、何でお金が要るの?っていう話になりますよね。成長資金が必要、って言われたらそれは多分お金を出さないと思いますね。メンターだけっていうのでは投資をしないし、EXITを目指していないのであれば投資は難しい。

長南 確かに、ボランティアではないですからね。 エンジェル投資家としては個人の限界って、金額で言うと1件当たり1億円くらいですか。

杉山 うーん、まだ1件で1億円を投資した例はないです。

長南 通常は1,000万円くらいですか。

杉山 大きくてそれぐらいですね。

長南 となると、数百万円でいれることが多くて、レイターなどの先が見えている会社についてとかで思い切り張るんだったら1億円くらいでしょうか。

杉山 そうですね、そういうイメージですよね。 IPOでなくてもいいけど、EXITを目指してないのであれば、資本参加は今だと考えないですね、きっと。

投資家インタビュー Vol.4 杉山全功氏

杉山 全功SUGIYAMA MASANORI

元 株式会社enish 代表取締役社長

平成元年9月 潟_イヤル・キュー・ネットワーク 取締役
平成12年6月 潟Cンデックス入社 経営企画室長
平成16年1月 潟Uッパラス入社
平成16年4月 同社 代表取締役社長
平成16年7月 同社 代表取締役会長 兼 社長
平成22年5月 日活 取締役(現任)
平成23年6月 各nish 代表取締役社長
平成26年6月 地盤ネット 社外取締役(現任)
EmotionIntelligence、Wantedlyなどに投資している。

投資家インタビュー Vol.4 杉山全功氏

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