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INTERVIEWS WITH INVESTORS

(2015/9 取材)

ヒットの確率は組織力。哲学と思想でヒトは引っ張れる

長南 先ほどの話だと投資をする前に人物評価がある程度出来ていて関係性は変わらないという話だったんですけど、人物評価が出来ていると思っていたけど実際は違った、というのはないですか。

今野 いや、ありますよ。性格とかパーソナリティは読み違えないけど、ビジネスのスキルとか、個としてのパフォーマンスとチームになったときの違いとか。あとはタフなシチュエーションになった時のその人の対応の仕方とかは、やっぱりそのシチュエーションになってみなきゃ分からなかったりするので。

長南 思い描いていたものと違うと言うのは、どのようなケースがありましたか。

今野 例えば元々あまりコミュニケーションが得意でないけど自分が好きなことだったらものすごく語る人がいて、その熱量でチームを引っ張るかなと思ったら、いざ20,30人ぐらいにチームが大きくなってみると工程管理も工数管理もパフォーマンス管理もできていなくて。やっぱり勝つ会社には因果関係があって、見ていると全然違う。ベンチャーって、やってみないと分からないという部分はあるけれども、成功確率を左右するのは組織力だと思います。

長南 打率と長打力。その2つも結構イコールだったりしますけどね。

今野 打率が高い人は、イチローじゃないけどヒットの延長線上にホームランがまさにあるっていう感じですかね。そこは強い個がチームにならないと分からない。そこでカルチャーとか哲学を持って採用しているかどうか。

投資家インタビュー Vol.3 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏 ヒットの確率は組織力。哲学と思想でヒトは引っ張れる

長南 だから今野さん、チーム、チームって言ってるんですね。

今野 そうそう。だって100億円の会社とか100人の会社を作るのに一人でできるわけないじゃないですか。

長南 例えばスティーブ・ジョブズの様なカリスマ性を持った人が引っ張ってはいるけど、下にはチームがしっかりできているっていうことなんですかね。

今野 そう思いますよ。やっぱりそういう社長にはしっかりしたストラテジストやエグゼキューターがいて、その人がワークして初めて、突飛なリーダーがブレイクするファクターになる。

長南 その人たちが下につくと言うことはそれだけやっぱり魅力があったんでしょうね。その差はどこに出ると思いますか。個人としては良いわけじゃないですか。

今野 そういう意味では哲学と思想があるかどうか。やっぱり売上も資産もない、給料も多くは払えない会社が唯一最大引っ張れるのって哲学とか思想とか想いとかこの人について行きたいなっていうところ。目先のプロダクトやサービスを語るだけでは足りなくて、それを通じて何を変えたいとか、どう社会を変えたいか、そういうのがないと。

3Techプラス2

長南 GCPの中では事例を分析して、こういう企業だと成功する、失敗すると言うノウハウやデータがありそうなイメージがあるんですが、どうでしょうか。

今野 明文化はしていないです。よく聞かれるんですけど、それはそれで僕はやっぱり明文化しない方が良いかなと思ってるんですよね。多様性とか個で爆発的に価値が出ることがあるから。やっちゃいけないことリストを作っちゃうと本当に金融系のVCみたいになっちゃいますよね。黒字化してないとだめに等しい憲法になってしまうので、それはしない方が良いと思ってる。それが、独立系のVCの価値だと考えています。

長南 GCPとして話が来た案件の中で実際に投資委員会に持ち込まれる割合と、実際投資まで至る割合はどのような感じでしょうか。

今野 最終の投資委員会にいくまでに3回ぐらい検討するんですけど、それを含めて正式なプロセスに乗るっていう意味で言うと、乗るまではたぶん消費税の割合(8%)はないですね。

長南 10%以下ですか。年間どのくらいの案件が来るんですか。今は多いのかもしれないですけど。

今野 組織全体で年間2〜300ぐらいじゃないですかね。もうちょっとかな、数百の単位ですね。年間で正式に乗るのが15件から25件ぐらいです。結構最初に上げる前にスクリーニングしてる。そこからはデューデリして新しい事実が判明したとか、条件が合わないとか、向こうに断られたとかそういうケースで最初の稟議を通ってから半分から3分の1ぐらいになる。

投資家インタビュー Vol.3 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏 3Techプラス2

長南 今野さんが出張ってコンペをやれば勝率は高くはないんですか。

今野 いや、うちは条件が厳しいみたいなんでそうとも言えない。それはそれで良いんです。全部の案件に投資する必要はないので、それこそ3年,5年一緒にやるっていうところでの相性が重要。

長南 いまだいたいワンショットって、バリエーションはプレはどのくらいで、投資額はどのくらいのイメージですか。

今野 うちの場合ステージを分散させてるので、まちまちですね。1桁億円から3桁億円まで。アーリー、ミドル、レイターのステージ別で見ると案件の数は4:3:3ぐらいで、そうするとバリエーションはステージごとにばらばら。アーリーだと今時点で高くなってちょっと落ちついて10億円の前半ぐらいじゃないですか。10億円前後、平均値を取るとプレで10億円ぐらい、ポストで15億円はいかないように、みたいな感じです。

長南 12〜3億円っていう感じですね。で、株式のシェアは2割ぐらい目安でしょうか。

今野 2割もいかない、15%とか。それで2億円ぐらいからスタート。で、もう1回追加で入れるとか。

長南 今後投資をしていきたい事業領域はどのように考えていますか。以前伺った話ではITは何らかの形で絡んでて、ヘルスケアも興味があり、BtoBも当然興味があると。

今野 10年ぐらい前からそうだけど、広い意味のITで考えると今、85〜90%ぐらいになっているんですよ。全業種にホリゾンタルにITが結びついちゃってるから、それだけだとほとんど限定していないですよね。GCPで今話に出ているのは、3Techプラス2みたいな。Fin-Tech、Education-Tech、Health-Techと、プラス2は勝手につけてるんですけど、Home-Techと、Car-Tech。IoTはその一部ですね。IoT、AI、VRは要注視。投資対象にはもちろんなるけど、実際投資するタイミングはまだ先かもしれない。

投資家インタビュー Vol.3 グロービス・キャピタル・パートナーズ今野穣氏

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