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2016/01/21

財産保全会社設立による
事業継承・資本政策

上場会社か非上場会社かを問わず、オーナー一族が個人で保有・経営する会社の株式を一元して資産管理する財産保全会社や資産管理会社を設立することがあります。財産保全会社を設立した方が良いのか、しない方が良いのかという検討については、保有する株式の時価によるところも大きいですが、後継者への事業承継やIPOといったイベントがある場合には、関係する人々の想いやタイミングが重要とも考えられます。

財産保全会社設立の意義

財産保全会社設立の意義については、税務メリットが注目されることが多いですが、その他には以下のものが考えられます。

  • 親族等の家業を経営する会社から切り離す
    → 同族関係者とそれ以外の方との明確な切り分けを行うことができます。

  • 上場会社等から切り離された事業展開が可能となる
    → 事業展開の多様性やスピードを確保することができます。

  • 安定株主対策
    → 大株主として名を連ねることにより、株主総会等の議事運営を安定して行うことができるようになります。

  • 配当金等の益金不算入制度の適用と資金の一元管理が可能となる
    → 税務メリットを享受することができるとともに、ある程度まとまった資金で不動産等の購入を行うことにより、長期的に安定した収入を確保することができ、オーナー一族の生活資金を確保することができるようになります。

  • 相続時の株式評価において含み益の38%が控除される
    → 結果として相続財産の評価減が行われることで、相続税が低減する可能性があります。相続時、財産保全会社の非上場株式としての株式評価において、すべての資産・負債を財産評価基本通達等により時価評価することになりますが、相続時等においては、資産の含み益(時価から帳簿価額を差し引いた金額)の38%が財産評価から控除されることになります。

財産保全会社設立における留意事項

財産保全会社設立における留意事項として、主に上場株式を保有するケースにおいて、以下のものが考えられます。

<TOB規制>
買付後1/3超保有の場合には、TOBまたは市場内売買が必要となります。
また、以下の一定の事由に該当する場合には、臨時報告書・大量保有報告書の提出、適時開示が必要となります(議決権10%以上の主要株主異動、5%超保有株主の持分が1%以上増減、新たに5%超保有)。

<配当金を巡る法人及び個人の税金>
オーナーが経営する会社から受領する配当金について、法人及び個人においての法人税や所得税の規定は以下のとおりです。
まず、法人株主については、受取配当等の益金不算入制度があり、以下のようになっています。

持株割合
益金不算入割合
負債利子控除
100%
100%
なし
1/3超
100%
あり
5%超〜1/3
50%
なし
5%以下
20%
なし

次に、個人株主については、以下のとおりです。
原則:総合課税(他の給与所得等と合算して超過累進税率による課税)
例外:源泉分離課税(上場企業株式の発行済株式数の3%未満)

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