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2015/10/01

IPOはすべきではない?

IPOのメリット・デメリット

すべての企業にとってIPOがベストなEXITとは限りません。コストの増大、事務作業の増加、外部関係者からの圧力、経営意思決定の制限など、企業行動や経営意思決定を誤らせることも多いです。むしろ、IPOしない方が規則やルールに縛られることなく、自由に経営の意思決定ができるので、中長期的に考えれば幸せかもしれません。その会社のビジネスモデルや経営者の資質次第では、短期的なIPOなど考えずに中長期の視点で経営を行っていくことや、0から1への事業立ち上げに熱意を感じるアントレプレナーについてはある程度の事業化された段階でBUYOUTをして次のステージや新しいビジネスを立ち上げることも考えられます。
シリコンバレーでは現在、通称「ユニコーン」と呼ばれる会社の評価額が10億ドル以上の非上場企業が増えてきており、「企業の成長戦略=早期IPO」に限らない動きが今後日本でも少なからず出てくる可能性はあります。

改めてIPOのメリット・デメリットについてまとめると、以下のようなものが挙げられます。

    メリット

  • 資金調達の円滑化・多様化
  • 企業の社会的信用力と知名度の向上(就職させるときの親の安心感)
  • 社内管理体制の充実
  • 従業員の士気向上
    (ストックオプション行使、株式の市場売却、従業員持株会を通じた資産形成など)
  • オーナー・創業者利益の確保
  • ベンチャーキャピタルの出口確保
  • ベンチャー周辺関係者とのコミュニケーションから機関投資家とのコミュニケーションの増加によるより経営者のマクロ的観点からの経営の遂行
  • 外部の目に晒されることによる経営意思決定の緊張感の醸成
  • 業務提携など外部からのビジネス関係の紹介の増加
  • Listed Companyになることにより海外進出時の障壁の緩和

    デメリット

  • IPO準備の労力・コスト
  • 上場維持費用の負担、管理コストの増加
  • 業績向上・企業価値向上への外部からのプレッシャー
  • オーナーの支配権の希薄化
  • 買収リスクの増大
  • 社会的責任の増加

華やかなメリット部分にばかり目がいきがちですが、IPOへ至るまでに多大な労力を割くこととなります。 上場した後の方が実際には想定以上の物理的・精神的ストレスも多く、上場を果たした企業であっても、 上場していることによるデメリットが大きいフェーズとなればMBOによる自ら証券取引所から撤退するケースも見られます。

IPOすべき会社は?

では、IPOすべき会社とはどんなものでしょうか。
様々な理由や経緯でIPOを果たす会社が数多くありますが、本来、IPOすべき会社は、具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 一般の人に知られることにより売上高を増加させることのできるコンシュマー向けサービスを展開する会社
  • 官公庁や大企業などを相手にB to Bビジネスを行う、上場企業としての信用を手に入れることが売上高の増加につながる会社
  • 資本市場からの多額の資金調達を行うことにより、新たな事業の立ち上げや積極的なM&Aを行うことを企図する会社
  • 日本だけでなく、アジア、欧米向けにビジネスを積極的に展開する必要のある会社
  • 属するビジネスや業界のマーケットサイズが相当程度あり、今後のマーケットの拡大が見込まれる会社
  • 過去の資本政策の失敗などにより株主数が相当数いる場合において、非上場のままでいるよりもIPOにより株式の流動性を高める必要性がある会社

いずれにしても、経営者に誠実性でありメンタル的に鈍感またはハートが強いこと、組織風土としてオープンであることが求められると考えられます。

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