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2015/10/01

IPOにCFOは必要か?管理部長でいいのか?

企業規模とCEOとの関係性

IPOにあたりCFOが必ず必要なのか?
これはよく質問を受ける話ではありますが、一概に必要、不要と言えるものではありません。 そもそも、CFOとは本来どのような機能であるべきか?どのようなヒトであるべきか?という議論がなされなければならないかと思います。

CFOとは、経理を含めある程度管理全般を仕切ることのできる管理部長で、ファイナンスの知識をある程度有する役割として捉えられることが多いかと思います。CFOの代表例を挙げると、比較的大規模な上場企業の中ではソフトバンクの笠井和彦氏、ソニーの吉田憲一郎氏がおり、ベンチャー企業の中ではアイスタイルの菅原敬氏、メルカリの小泉文明氏などがおり、各人様々な特色があります。
バックグラウンドとしてメガバンク出身であったり、プロパーであったり、コンサル会社出身であったり、証券会社出身であったり多岐にわたりますが、すべての方に共通するのは、経理をはじめとする管理部長だけを担うだけでなく、金融の基礎知識を持ちつつ会社全般の経営戦略を深く認識し、資金を投入すべき事業を選定し、時には経営者と激しい議論を行い、資金調達を含め総合的に考えられるヒトであることと思います。

上場準備では、直前期には実績を積んでいるCFOまたは管理部長主導の下、職務権限規程などに基づく業務フローが最低1年間の運用されることが求められます。ベンチャーにおいては資金調達については経営者が主導して行うことが多く、管理本部長が資金調達などの機能を担うことは少ないため、CFOとしての役割は必要ないかもしれません。むしろ、経営者が主導して立案した中期経営計画に基づき予算を精査し、月次決算との差異分析を行い、主幹事証券会社や証券取引所のIPO審査を乗り切ることに精力を注ぐことが一番かもしれません。
経理部長であるとかCFOであるとかの肩書に振り回される形でCFOを設置・選任したところで機能するものではなく、企業規模と成長のどの過程にあるのかによっては管理全般を担う経理部長の役割が重要であったり、企業が成長過程にあれば資金調達の機能が必要であったり、潤沢な資金をより最適な資金配分を行うフェーズである場合には本来のCFOとしての役割が重要であったりと、求められる要件が変化するものと考えられます。

重要なのは、CEOとCFOが対等、もしくは資金配分においてはCFOがCEOに先んじる形で話せる関係であるとともに、CEOの良き相談相手となり、組織全体を俯瞰しながら戦略立案に参画・意識決定することが、企業成長を加速させる重要なファクターと考えられます。

そのためには営業・マーケティング、製品開発などの専門外の分野についても、CEOにキャッチアップできるだけの知識やスキルを身につける必要があります。そうしたCFO自身のスペックだけでなく、CFOが戦略立案に参画するものという共通認識について、CEOをはじめとした経営陣がマインドセットされてはじめてCFOの要件が満たされていると言えるかと思います。CFOがCEOと対等に話せる関係性を築けなければ、ただの数字を取りまとめるだけのポストとなってしまいます。上場承認後のブックビルディング期間中の機関投資家回りの際に、事業モデルや経営戦略について、CFOが管理部長の役割に限定されるような物足りない状況であっては、機関投資家にも組織力という点で評価されない可能性があります。

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